
TEC CREATIVE PROJECT「ひかりとかみ」は、一枚の紙と光による、干支をテーマにした写真作品を募るイベントです。
3回目の開催となる今回は、東京・大阪の撮影チームを中心に7組10作品の応募がありました。その中から社内投票の結果、「馬神」がグランプリに決定しました。
馬は、古来より「飛躍」や「前進」の象徴とされ、その力強く駆ける姿は旺盛な生命力の表れとされてきました。猛々しいたてがみをなびかせ疾走する馬の姿を彷彿させる「馬神」は、2026年にさらなる高みへと邁進したいというスタジオテックの姿勢を象徴するビジュアルとなりました。
01紙を水に浮かべる

01紙を水に浮かべる
A3の一般的なコピー用紙の上部を3cmほど残し、2mm幅の帯状にした状態で水槽に浮かべています。水中で不規則にたゆたいながら、力強い毛の流れやたてがみのような動きになるよう細かく丁寧に切り刻んでいます。
02浮遊する生命力を表現する
02浮遊する生命力を表現する
水槽内で紙を動かし、シャワーヘッドで注水することで意図的に気泡を発生させています。被写体の変化に合わせてカメラと照明を細かく調整し、紙の形状と泡の配置が最良となる瞬間を追求しました。紙にまとわりつく無数の気泡は、水中ならではの浮遊感を際立たせ、生命力あふれる「ウマガミ(馬神)」のイメージを鮮明に描き出しています。

01紙に生命感を宿す

01紙に生命感を宿す
羅紗のような柔らかな風合いを持つ紙を用い、その表面を金ブラシで擦ることで、繊細な毛羽立ちや透け感といった表情の変化を引き出しました。さらに霧吹きで湿らせて複雑なうねりや皺を刻み、インクで染色を施すことで、馬の毛並みや血管、躍動する筋肉の質感を再現しています。
02多重露光で疾走感をだす

02多重露光で疾走感をだす
ライティングは、たてがみを際立たせる左からの光、全体を包む右からの光、そして背景のグラデーションを作る下からの光の3方向から構成。多重露光と意図的なブレを組み合わせることで、馬の疾走感とともに、しなやかなたてがみと力強い肉体の鼓動を一枚の絵の中に定着させました。

01小さな幻想世界をつくる

01小さな幻想世界をつくる
折り紙で表現された馬の佇まいを通して、日常の中にふと現れる小さな幻想世界を形にしました。淡い黄色の馬が、パステル調の柔らかな背景と足元に広がるほのかな虹色のグラデーションに包まれ、まるで新しい物語の入り口に立っているかのよう。不思議で「kawaii」魅力あふれる作品に仕上げました。
02光の色を重ねる

02光の色を重ねる
ライティングは、左側から黄色フィルターを装着したストロボを照射し、背景に淡く温かな色調を添えました。手前のブルーは右側のLEDライトで色味を細かく探りながら、光が重なる部分に美しい紫色が浮かび上がるよう調整しました。さらに室内光を補助的に組み合わせることで、優しく穏やかな雰囲気を構成しています。

01馬を切り出して重ねる

01馬を切り出して重ねる
丁寧に切り出した2頭の馬を多重露光で重ね合わせ、エドワード・マイブリッジの連続写真を一画面に凝縮したような、疾走感あふれるイメージを構築しました。
02幻想的な色空間をつくる
02幻想的な色空間をつくる
ライティングは3灯の光源に室内光を組み合わせています。背景にはLEDのブルーとレフランプの赤みを重ね、うねるような光のグラデーションを創出。主役となる馬には手前からピンクの光を計8回照射しました。最初の3回は固定して輪郭をシャープに残し、残る5回は被写体をわずかにずらすことで、残像を伴う躍動感を表現。鮮烈な色彩のコントラストにより、幻想的な山野を駆け抜ける姿を描き出しています。

01紙に生命感を宿す

01紙に生命感を宿す
羅紗(厚手の起毛毛織物)のような柔らかい肌触りをもつ紙を、金ブラシで擦り表面に毛羽立ちや透けなど紙の表情に変化を出しています。さらに霧吹きで湿らせ、複雑なうねりや肌の皺のような生命感を感じさせています。
02光に向かう

02光に向かう
ライティングは3灯使用。逆光のライトとは別にあえてレンズに直接光を入れ、さらにレンズ前にテープやフィルターなどを入れることで光の複雑な屈折や飽和感を表現しています。白馬が光の中を走り抜けていく印象的なイメージに仕上げました。

01紙に平行線を折る

01紙に平行線を折る
折り目をつけ湾曲させた紙の両サイドから光を当て光源と面の角度の違いによってグラデーションを作っています。シンプルな構図に表情をもたせるよう平行線の間隔をランダムに折っています。
02風の跡を描く

02風の跡を描く
降りしきる雨を、並行線で描いた江戸時代の浮世絵は、かつて西洋の芸術家たちに大きな衝撃を与えました。本作では、そうした日本独自の美意識を着想の源とし、馬が瞬時に駆け抜けた後の風の跡を、無数の並行線で表現しています。伝統的な視覚表現を現代の感性で捉え直し、目に見えない速度と風の動きを可視化しました。

01馬を折る

01馬を折る
薄手のいろがみ(15㎝ x 15㎝)で馬を折り、お正月の明るい未来を感じるイメージになるよう、爽やかに表現しています。5色のいろがみで透過性やフォルムバランスを比較しながら1色に絞りました。
02デスクで撮影する

02デスクで撮影する
撮影は、自宅のデスク上で完結するミニマムなセットで挑みました。専用のバック紙の代わりにカレンダーの裏面を代用し、床面には手頃なサイズの鏡を配置。LEDデスクライトとレフ板で光をコントロールし、鏡への映り込みを利用することで、独特の浮遊感を演出しました。初日の出を背に伸びやかに駆ける馬のシルエットを、幻想的な世界観とともに描き出しています。